日本のなかの朝鮮

このところマス・メディアを通じて頻繁に流れてくる朝鮮半島に関する話題や情報を見聞きしながら、どこか割り切れない思いがする。新聞は毎週のように関連記事を取りあげ、雑誌は特集を組み、テレビにはチマチョゴリが舞い、ラジオからは韓国の歌が流れてくる。このような事態をだれが想像し得たのだろうか。本田靖春氏の「私の中の朝鮮人」の中に次のようなくだりがある。「日本と朝鮮の関係に明けるなによりの不幸は、普段の日本人はほとんどといってよいほど朝鮮の存在を意識しないでいることであり、朝鮮人は片時も日本の存在を意識せずにはいられないということである」。日本人の意識のなかで、朝鮮は見えない存在であり、煩わしい存在であった。(「族譜」まえがきより)